立川市民の足としてすっかり定着した多摩都市モノレール。平成10年11月に立川北−上北台が開通した当時から噂されてきた、上北台以降の延伸計画はどうなっているのか。その最新状況をレポートします。第1回は「そのルートと新青梅街道の役割」です。
国土交通省からお墨付き
上北台(東大和市)を地上から見上げると、駅舎から飛び出たモノレールの軌道末端部分が見えます。プツリと不自然に切れていますが、これは最初の段階から延伸が計画されていたことを物語っています。
多摩都市モノレールの開通から18年近くが経過した2016年4月20日。国土交通省による「交通政策審議会答申案」が公表されました。
この報告書の中で、多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸は、同じく町田延伸とともに「意義あるプロジェクト」に位置付けられました。
「交通政策審議会答申案」は、①需要の見通しおよび費用便益費②財務分析③事業化に向けた検討の熟度などを踏まえ、数多くあるプロジェクトのそれぞれに意義と課題を具体的に示したものです。
多摩都市モノレール上北台−箱根ヶ崎間については、こう記されています。
意義=多摩地域の主要地区間のアクセスの向上。
課題=導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等に於いて具体的な調整を進めるべき。
つまり多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸は、国土交通省から「最も実現に近いプロジェクト」のひとつとして、お墨付きを得たと言えましょう。
新青梅街道は拡幅30mに
多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎までは約7㎞。そのルートのほとんどが新青梅街道を導入空間とします。
当然ですが、現状の新青梅街道にモノレールの軌道を設置する余裕はありません。多摩都市モノレール建設時に芋窪街道を拡幅したように、箱根ヶ崎延伸には新青梅街道の拡幅が不可欠です。
東京都は平成17年に、交通渋滞解消の視点から、現在の幅員18メートルを30メートルに拡幅整備する都市計画変更を行っています。
さらに平成18年4月には、「多摩地域における都市計画道路の整備方針(第三次事業化計画)」の中で、新青梅街道が優先整備路線(今後10年間で優先的に整備される路線)に選定されました。
東京都では、新青梅街道のこの区間を5つに分割して整備。現在用地確保が積極的に進められています。
クルマで新青梅街道を利用される方は、拡幅のための用地が道路両側のいたるところに確保されていることにお気づきでしょう。新青梅街道の拡幅工事は平成34年度内の完了を目指しています。
幻の西武ドーム延伸計画?
実は上北台からの延伸にはもうひとつの計画がありました。それが西武ドーム延伸案です。
上北台からまっすぐに北上。多摩湖を渡り、西武ドームに接続。さらに延伸され所沢(もしくは狭山)へと向かうルートです。
一部では熱烈な支持を得たのですが、多摩都市モノレールは東京都が80%近くを出資する第三セクターです。埼玉県まで延伸するためには、埼玉県が出資者として加わるなど企業体自体の改組が必要となります。
残念ながら現在ではあまり話題に登らなくなりました。
リンク
多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸 第2回「新しい駅名を勝手に考えてみた」
多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸 第4回「軽便鉄道の記憶 1世紀を経て」
【参考文献・ウェブサイト】
東京圏における今後の都市鉄道のあり方について 交通政策審議会
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